【TBS NEWS DIG】ウクライナから逃れた人々は“避難民”  日本が「難民」と呼ばない背景にある「開かない扉」とは

ロシアの侵攻で、ウクライナから日本に避難してくる人々。政府は「難民」ではなく「避難民」と呼んでいます。その背景に、日本の厳しい難民受け入れ体制がうかがえます。

■難民ではなく“ 避難民”何が違うのか?

「避難民」と「難民」、一文字しか違いませんが、その意味は大きくことなります。今回、日本政府は、ポーランドから日本への避難を希望した20人を政府専用機で移動させる異例の措置をとりました。国際社会と協調する姿勢をアピールする狙いがあると見られます。

ウクライナから日本に避難してきた人たちは、3日までで404人。ただし、政府はウクライナからの人々を「難民」ではなく、「避難民」と呼んで受け入れています。まず在留資格は、90日間の「短期滞在」で入国し、その後、1年間の就労が可能になる「特定活動」への切り替えを認める方針です。また、サポートとして、生活費や医療費の支給、職業支援などもしていきます。では、なぜ「難民」ではなく「避難民」として扱うのでしょうか?

その背景には、日本の厳しい難民受け入れ体制があります。そもそも難民問題に対する意識は、第二次大戦後に高まりました。難民の保護を保障し、問題を解決するために「難民条約」が作られました。この難民条約に基づく「難民」は、「人種や宗教、国籍、政治的意見などを理由に、迫害を受けるおそれがある人たち」のことです。例えば、ミャンマーやシリア、アフガニスタンの人々のように、自国の政府から迫害を受けて国外へ逃れる人々がいます。もし、日本で難民認定されると、定住することができ、原則として、健康保険や年金なども日本国民と同じように受けることができます。

■世界でみても厳格な日本の難民の認定率背景には構造の問題?

しかし、出入国在留管理庁によると、「ウクライナの人たちは、他国からの軍事侵攻を理由に避難していて、自国の政府による迫害ではないため、条約上の『難民』には該当しない」と言います。

今回はあくまでも、人道的な配慮による特例措置での受け入れです。野党は、ウクライナの人たちが「日本に定住できるか将来の見通せない不安定な立場に置かれる」と指摘します。また、日本は「難民認定の門戸が狭い」との批判があります。一昨年の各国の難民認定数とその認定率では、ドイツ、カナダなどと比べて日本は圧倒的に少なく、認定率はわずか0.5%です。なぜ、日本は厳しいのでしょうか。

例えば、ドイツでは「連邦移民難民庁」を設置して、難民を保護の対象として受け入れています。一方、日本では、出入国在留管理庁が難民認定の実務を担っています。ここは外国人の入国を管理、つまり取り締まりをしているため難民保護の視点が弱くなりがちです。全国難民弁護団連絡会議の渡邉代表は、「難民条約に最初から加入している国として、難民保護の視点を明確にすべきなのに、その義務を果たそうとする姿勢が見えない」と指摘します。

今も、アジアや中東、アフリカなどから避難してきて、難民認定されず、苦しんでいる人々は少なくありません。日本の難民受け入れ体制について、改めて議論が求められています。

(サンデーモーニング2022年4月10日放送)

(10日17:22)

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